11月6日(土) 15:50〜16:00
ソニックシティビル4階市民ホール(南401+402)
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一般演題(口演12)
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米国での外科系臨床研修(クリニカル・フェロー)を日本でどう生かすか?
奥井 伸雄1
レイモンド・J・ライリー2、ケヴィン・R・ラフリン3、沼田 裕一1、
川原田 恒4、杉田 義博4、吉新 通康4
1地域医療振興協会・横須賀市立うわまち病院  2ハーバード大学ブリガム&ウイメンズ病院婦人科  3ハーバード大学ブリガム&ウイメンズ病院泌尿器科  4地域医療振興協会
【目的】 米国での臨床研修を希望する医師は年々増加してきている。外科系の場合は、手術の技術習得が目的である場合が多い。折角米国で修練しても本邦の患者のニーズやシステムに合わないと、その研修が十分に生かせない場合がある。演者の経験した婦人泌尿器科分野をテーマに、米国での研修がどのように生かせるかを報告する。
【背景】 婦人泌尿器科は新しい概念で、泌尿器科と婦人科の知識で両方の接点を診療する。本邦には婦人泌尿器科として活動する医師は稀ではないが、多くは泌尿器科か婦人科の一部疾患という立場であり、対象範囲が狭く、治療は一側面のみになることが多い。大学医局の制度では、科を越えた知識取得は不可能であることが原因である。しかし、米国留学のクリニカル・フェローの立場は応用が利き、演者の場合は泌尿器科専門医として渡米したが、両科の婦人泌尿器科で勉強をできた。帰国後、地域医療振興協会の自由快活な雰囲気の中で、新しい概念を構築するために、地域医療をする医師との連携を図ることを模索した。このことが米国スタイルの診療方法を生みつつある。
【結果】 本邦で婦人泌尿器科として活動すると、日本女性はボデイスーツなどによる姿勢の悪い等の生活・習慣があるために排尿障害のある性器脱等の手術適応疾患多いことに気がつく。これらは婦人科や泌尿器科のみでは、治療方針が立たなかったものである。地域医療との連携で、在宅リハまで継続した生活改善と低侵襲手術が重要である。家庭医と連携をとりつつ婦人泌尿器科分野の主治医となる方法は習得した米国スタイルそのものである。
【考察】 米国研修の後は、その分野をどのように日本に組み込むかが大切である。米国の診療スタイルは、合理的な医療連携にあり、視点をかえれば日本への応用できるものであると考える。今後は後輩指導に米国外科スタイルを組み込むことに努力したい。