あたらしい時代の
骨盤臓器脱・尿失禁手術


骨盤臓器脱の治療は、いろいろな方法が出現することで進歩しました。そして、2017年の時点で、ようやく、おちついて説明できる段階にきました

骨盤臓器脱と過活動膀胱は当院の担当分野です。骨盤臓器脱とは、膣の中から膀胱や子宮や直腸が落ちてきてピンポン玉が挟まったような不快感を感じます。咳で尿が漏れる腹圧性尿失禁になることもあります。過活動膀胱とは、なんども尿意を感じ、時に漏らしてしまうものです。この2つの治療は医学的に変革期にあります。

 新時代の治療を考慮

 私たち、よこすか女性泌尿器科・泌尿器科クリニックは、横須賀中央駅から徒歩4分の三浦半島最大級医療施設リドレで活動し、保険適応の骨盤臓器脱・尿失禁手術、自費の尿失禁レーザー手術の二つを中心に日帰り手術を1年間で777件実施できました。アクセスの良さから横浜全体からの患者様が多く受診されました。新時代を見据えての活動です。ここに感謝を申し上げます。

 日本人の平均寿命が伸び、高齢者治療対策のニーズが出てきました。入院手術をすると認知機能や筋力低下の危険のある高齢者のみなさまに日帰り手術という安心な治療を提供する必要があります。

 

(図の解説(小文字で):日帰り付き添いサービスなど職員の様々な工夫により、当院の手術件数はハーバード大学ブリガム女性病院に並びました。)

 骨盤臓器脱

ハーバード大学を参考に!

 骨盤臓器脱は、骨盤底といわれる膀胱や子宮などをささえる筋膜が切れてしまって臓器が落ちてくるのが原因です。手術ではこの筋膜を修復するのですが、世界的に人工メッシュを挿入して修復をする手術の数が増えてきました。人工メッシュが身体に及ぼす影響を調べたところ、挿入面積が80平方センチメートルを超えると年月とともに感染を起こしやすくなることがわかりました。(老年医学誌に発表)

 メッシュの手術に偏るのは時代を見据えていないと考えて、メッシュ無しの手術に取り組んでいます。再発率も感染症も合併症も少なく安全に行えました。

 ハーバード大学の主任ライリー医師はメッシュない手術を重視しており、当院もそれに習いメッシュなし手術を推進しています。骨盤臓器脱の将来像は、ハーバード大学が示しているようなメッシュなし・メッシュありの割合が、理想だと考えます。

 治療方法  分類  利点  欠点
 メッシュなしの手術  筋肉の状況にあわせて様々 感染症の心配がない
痛みがない
トラブルが少ない
当院では4%ぐらいの人が再発(再手術は容易)
 メッシュありの手術   膣式メッシュ 骨盤臓器脱をおさえる能力が高い
日帰り手術
当院の統計では4から10%に6年目からの感染症が出現
再手術が困難
術後痛みのあるケースあり
 腹腔鏡式メッシュ 骨盤臓器脱をおさえる能力が高い 当院の統計では4から10%に6年目からの感染症が出現
腹腔鏡では補えない場所から骨盤臓器脱の再発がありえる
腰痛などの疼痛がある

 

過活動膀胱

心臓の治療から応用!

10年前に手術で過活動膀胱が改善することを世界で初めて国際論文にしたのは当院です。そして、この分野は新しい時代に入ります。それは2つの方法で、ひとつは心臓ペースメーカーと同じ人工物を臀部に埋め込んで膀胱の神経をコントロールするもの。もう一つは、心臓アブレーションの技術を取り入れて、膣から同じYAGレーザーを照射することで、尿道や膣の細胞の活性・新しい血管の再生を促す自然なもの。

前者は、2017年より日本でも保険適応になりますが、後者はまだ5年以上遅れるでしょう。そこで、アメリカFDAが唯一尿失禁への効果を認めたレーザー機器をそろえ、国内の他の施設が1回(自費)20万円前後でしているものを、17万円(外税)で実施しています。全米の集計では5万人が治療をしていて、75%に効果があります。当院で100人の治療をしたところ同じ結果が得られ、米国レーザー医学会で発表しました。国際評価を受け英語論文を予定しています。日本語論文は老年医学誌に載りました。

抗凝固剤(血液サラサラ薬)を服用していても受けることができます。人工メッシュを挿入したくない妊娠希望の若い女性にも選択していただいています。いままで治療できなかった多くの方を救えるツールになると確信しております。

 治療方法  理論  利点  欠点
 投薬  膀胱の収縮する神経を薬で抑える 必要な時期だけ投薬をコントロール  薬の副作用として、便秘・のどのかわき。論文により差があるが、認知症の可能性も示唆される
 仙骨内にペースメーカー機器をうめこむ
(仙骨電気刺激)
膀胱の収縮する神経を埋め込み型電気ペースメーカーで調節 薬で聞かないような重症の頻尿がなおる  一度挿入すると機械が身体に入っていることに対する制限がある
 YAGレーザーにより光線治療をする  膣からレーザーを当てることで細胞の再生と血管の再生を促す。細胞が生えれば、尿漏れをおこさなくなる。 安全で副作用がない。
75%に効果
細胞が再生しない人が25%ぐらい
2から3年すると、また老化によりもとにもどるが、その分安全の裏返し。再度レーザーを当てればよいが、手間がかかる

 

医院・院長の紹介

よこすか女性泌尿器科・泌尿器科クリニック(完全予約制046-823-8456

院長 奥井伸雄

東京大学大学院修了、ハーバード大学ブリガム女性病院で手術を学び、東京都内の大学病院での指導。米国時代はトップオピニオンリーダーに二度選出。開業後に国内の多くの医学賞を受賞。神奈川県医学会より学術功労者選出。毎日新聞執筆者・Yahooヘッドライン執筆者。新聞・雑誌の印税はすべて“女性医療”へ寄付している。51歳。



ページトップへ

病気のガイド

インフォーメーション

Advertising

TestSite.com MENU