私達のクリニックは、基本的に国民健康保険で診療をします。一部、自費の診療もあります。
女性泌尿器科の手術は、日々進歩してます。このため、日本の国民健康保険がまったく使えない手術も存在します。ですが、中にはすぐにでも導入したい術式もあります。そこで、海外に発注したときとほとんど同じ形状の道具を奥井医師が自分で作成して準備します。それも手術前に、その人の体にあわせて、金属の形をととのえます。現在、こうして、自作手術道具は、帰国してからコツコツ作成して20種類あります。そして、日本の厚生労働省に使用許可をとります。この道具をもちいながら、日本の認可した手術材料をもちいて、より海外の手術とおなじか、それ以上のレベルを目指すのが、モットーです。こうすれば、日本でよく知られる術式を基礎に応用しているだけなのですから、多くのケースで当院の手術は国民健康保険が使えるのです。
2000年にフランスで調査され、日本全国で普及したTVM手術について説明をします。TVM手術は、当院では、日帰りでおこないます。全国の平均は、まだわかりませんが、仮に、当院の方法での日帰り手術と、大学病院7日間入院とで費用を比較してみます。すると、下のグラフのように、当院の場合は、手術した月全体では、25万から30万円の間です。3割負担の患者さんですと、9万円になります。対して、7日間入院の場合は、45万から50万円の間です。3割負担で15万円になります。さらに、入院では、差額ベッドをつかう場合があり、たとえば、横須賀市なら安い個室で、
横須賀市民 4,730円 ・その他の方 7,040円 で、7日分で5万円。また、おむつなどの費用も1日別費用レンタルサービスなどがあります。それらもふまえると、合計の支払額は、20万円前後ということになります。
当院で過去に行なった手術の件数と再発率(再手術率)について説明します。
今回の骨盤臓器脱の手術は、かつて再発率が50%前後ありました。その後、人工メッシュが開発され、再発率が急激に減少しました。子宮摘出後の方に対して、この手術をした場合、フランスでは再発率13%前後と報告されています。
当院では、いままでにおこなった
『尿失禁手術132件 膣壁裂傷手術3件 膣断端挙上3件 膣形成術2件 膣閉鎖2件 メッシュあり膀胱脱手術153件 メッシュなし膀胱脱手術9件
直腸脱手術9件 子宮脱(子宮のみ)3件』 の手術を、調べたところ、
のべ13件の方に対し再発手術を行っています。
当院の再発率は4.2%前後です。 当院の理念として、全国的に手術がうけることができない年齢75歳から90歳にたいしても、積極的に努力していますので、高齢のために再手術できなかった人もいるかもしれません。ですから、再発率はもうすこしあるかもしれません。
また、横浜で統計をとっている再発率の低い病院では5%未満と報告しています。術後にどのように生活をすれば完全に再発が防げるのかは、まだわかっていません。『よその病院で絶対安静で2週間入院といわれてきたが、家事や家族の介護があるからいままで手術できなかった』という多くの患者さんを助けたいという理念から日帰り手術を始めました。再発率を下げるためには、家庭の事情を考えて、体調と相談して徐々に術前の生活に戻ってください。できれば、産後に似た状況と考え、1ヶ月程度は、疲れたらすぐ横になって寝る、という生活をおすすめします。もし、あなたが再発する4.2%にはいる人なら、院長はあきらめず、とことん再手術を検討し、お付き合いをします。時間だけ、院長にください。
私たちのクリニックは、日本全国のほか、アメリカや韓国やイギリス在住の日本人の方もこられています。手術は週に4人から5人でが、丁寧にできる限界で、300人ぐらい順番をおまちされています。典型的な膀胱瘤では、この期間おまたせすることになりますので、通院の負担がないように、長期処方などをして負担をへらす努力をしています。
中には、手術を急ぎ実施しないと、出血もおおく、感染も進行する人もいます。このような場合は、緊急の手術を検討いたします。また、85歳を超える方がきた場合は、優先してキャンセル空きがあれば、おいれします。考えることのできる、最善の努力をし続けます。
(追伸)開業以来、ずっと手術まちの期間が1年をこえ、こころぐるしくおもっておりましたが、手術室の改装・最新機器の導入・スタッフの増員・奥井方式を採用する大学への教育など、さまざまな方法で、手術待ち期間が短縮できました。時期によってことなりましが、現在が、3-6か月待ち程度です。