女性泌尿器科専門のクリニック
骨盤底筋体操
軽い腹圧性尿失禁は体操で治すことが可能です。この体操は骨盤底筋をトレーニングすることによって強くします。簡単にいうと尿道、膣、肛門を閉める運動です。 骨盤底筋体操の実際は、尿道、膣、肛門の括約筋のどれか一つ、あるいは全部を「ぎゅーっ」と閉めるイメージで行うと良いでしょう。そのあとは、ゆっくり括約筋(骨盤底筋群)を緩めます。この「閉める、ゆるめる」が骨盤底筋体操の基本です。5秒間閉め、息を吐きながらゆっくりと骨盤底筋群を緩めます。このサイクルを1日100回行います。切迫性尿失禁にも有効です。
マンガ:奥井識仁&もたいみゆき(講談社)
薬物による治療
切迫性尿失禁では薬物療法が治療の中心になります。抗コリン薬という膀胱平滑筋を緩ませる薬を使用することで、膀胱の容量が増加し尿は漏れにくくなります。分かりやすく言えば、『膀胱をリラックスさせることで、膀胱に尿をためるようにして、尿もれをなおすもの』といえます. 代表的なものには、ベシケア、ウリトス、デトルシトール、ポラキス、バップフォーがあります。副作用としては、ときに口渇感と便秘がみられます。また、膀胱の収縮力を弱めるために残尿が増えることがあります。
このため、2019年に30年前に発売された抗コリン薬のポラキスの販売停止を米国政府がきめました。
あたらしい薬として、膀胱の交感神経を刺激するβ3受容体薬というものがでました。膀胱を広げるという考え方です。この薬には、ベタニスという薬が発売されています。これは、不整脈のある場合はつかえません。また、子供をつくる年齢にはつかえません。
ベータ3薬と同等の能力として、膣全体にレーザーをあてる方法があります。
腹圧性尿失禁には尿道の閉鎖圧を高める作用のあるスピロペント、トフラニールなども、上記の抗コリン薬と一緒に使用します。
この投薬のかわりに、尿道に挿入するタイプのレーザーをかけることで、投薬をなしにしたり、減量することができます。
前立腺肥大症による溢流性尿失禁にはαブロッカーという薬が有効です。αブロッカーは前立腺に存在する平滑筋を緩める作用を持ち、その結果尿道の抵抗を減少させ排尿をスムーズにします。ハルナール、フリバス、エブランチル、ユリーフなどがあります。
初期の前立腺肥大症には、前立腺の血流を改善させることが効果的です。これには、善玉のNO(一酸化窒素)を増やし、悪玉の活性酸素をへらすことです。薬としては、ザルティアがあります
中期の前立腺肥大症に対しては、前立腺を小さくすることが大切です。それは、前立腺の中でのテストステロンをジヒドロテストテロンに変換する酵素をおさえる薬が有効です。それは、5α還元酵素阻害剤というもので、アボルブという薬があります。
また糖尿病などの収縮不全膀胱の場合には、膀胱の収縮力を改善させるウブレチドやベサコリンを使用します
ベシケア
ウリトス
ハルナールD
フリバス25mgOD
フリバス50mgOD
フリバス75mgOD
エブランチルカプセル15mg