女性泌尿器科専門のクリニック
3. いろいろな骨盤臓器脱(性器脱)
今度は、骨盤底がゆるゆるになったり、カチカチになることで、
どんな性器脱がでてくるのかを説明します。
まず、最初に正常の位置関係をおさらいします。上の図のようにならんでいます。膣のどの部位が弱くなって脱が起こっているかで、骨盤臓器脱をタイプ分けすることもあります。つまり膣の前方、後方、上部(尖部)のどの部位が弱くなっているのかで分類します。膣の前方が弱くなると膀胱瘤(膀胱脱)と尿道瘤が、膣の後方が弱くなると小腸瘤と直腸瘤(直腸脱)が、そして膣の上部が弱くなれば子宮脱や膣断端脱(子宮を摘出された女性の場合)が起こってきます。
(膀胱瘤の場合)
左:正常の状態です 右:膀胱がおちてくる膀胱瘤(径膣膀胱脱)
(直腸瘤の場合)
左:正常の状態です 右:直腸がおちてくる状態です(径膣直腸脱)
さて、頻度としては膣の前方の壁が弱くなって起こる膀胱瘤が最も多いのです。
まずは、膀胱瘤のことから、説明をします
まんが:奥井識仁&もたいみゆき(講談社)
これは、膀胱がおちてきた場合で、膀胱瘤(膀胱脱という人もいます)です。
膀胱瘤(膀胱脱)や尿道瘤では、しばしば尿失禁や頻尿を感じる方や、股間にピンポン玉を挟んでいるような不快感を感じる方、その両方を感じる方などがいます。膀胱瘤が高度になると、排尿困難を認める場合もあります。
注目すべきは、血流です
おちてきた膀胱は、その部分が血液の流れがわるくなります。
これが、膀胱瘤の場合に、頻尿と尿失禁、つまり過活動膀胱になる理由なのです。
とすれば、血液の流れが改善されれば、
過活動膀胱はなおる
そのとおりで、膀胱瘤をなおす場合に、大事なことのひとつは、
血流をなおすことになります。
この点で、人工メッシュをいれてがんじがらめに強く固定してしまえば、
当然、過活動膀胱が悪化します。
形がなおっても、機能がわるくなるというわけですね
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